水道民営化がウォーターサーバーに与える影響

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水道民営化がウォーターサーバーに与える影響

Photo by Anandan Anandan

水道の民営化が話題です。

ネットやSNSには多くの反対意見が溢れています。

なぜ民営化する必要があるのか?そして反対者が出るほどの問題点とは何か?

人間にとって最も大事なライフラインとされる水。これから先も大切な水の恩恵を受け続けるためにも、この水道民営化を私たち国民ひとりひとりが深く知る必要があります。

水道民営化とは何か?どのような問題や影響、メリット・デメリットがあるかなどを踏まえながら、ウォーターサーバーに与える影響についても考えてみます。

水道民営化とは何か?

水道民営化とは、国や自治体が管理・運営している上下水道事業を民間企業に委託することです。上下水道事業は自治体単位で行われていることから、民営化の導入も自治体単位で決めることになります。

権利を含むすべてを民間企業に委ねるわけではなく、権利は官が持ち運営権利だけ民間企業に譲渡するコンセッション方式という方法を採用します。

  • 官が管理・運営している水道事業を民間企業に委託すること

なぜ水道を民営化する必要があるのか?

高度成長期時代に整備された水道施設は老朽化などによって交換などの維持管理が必要とされていますが、今現在整備が必要な水道管は、長さにして地球一周分ほどもあるとされ、対応が追い付かない状況となっています。大幅な値上げもしても現状を打破することは難しく、今後も増えていくであろう整備箇所の対応がおろそかになるのは目に見えています。

また、人口減少やトイレ、洗濯機などに節水機能付きタイプが増えたことにより水の使用量自体が減少しており、それ伴い水道料金の収入も減収。老朽管の整備はおろか、現状の管理すら難しい状況になることが指摘されています。

これらの問題を解決するための手段が民営化です。公営にはできないコスト削減やサービス向上を民間企業ならできるというのが民営化推進の理由です。また、民間企業であれば、公営では中々難しい水道料金の値上げもある程度のスピード感を持って実現できるという意味合いもあるようです。

今のままでは日本の水道事業は破綻してしまいます。水道料金の値上げは必須ですが公営では中々難しい。そこで民間企業に委託することでスムーズに値上げを敢行する。民営化が必要な理由はこんなところでしょうか。

  • 老朽管の整備や維持管理にお金がかかるので、値上げやコスト削減したいけど公営だと簡単にはいかない。民間企業が運営することでよりスムーズにコスト削減や値上げなどの対応を行うことができるから。

水道民営化したらどんな影響が出る?

サービスの低下、水質の低下、水道料金の値上げなどの影響が出る可能性はありますが、これらは今の公営のままでも起こりえることです。

水道料金の値上げは避けられません。特に地方のような人口の少ない地域ではより大規模な値上げが必要になってくるでしょう。

値上げや増税を先送りして未来に負債を残す公営のやり方よりも、民営の方が現実的に解決するための値上げをすぐに敢行できるかもしれません。

ただ、その値上げの額が問題です。経費や利益が不透明な状態での値上げは国民が納得しないでしょう。民営化するにあたって透明性のある運営ができるような契約内容の整備が必要です。

民営化を導入している国を見てみると、先述のような悪い影響が出た国もありますが、公営のままでいたよりも値上げ料金が少なくて済んだという国もあります。

日本は各自治体毎に水道事業者がバラバラなため、サービスの質に差があったり、管理コストが余計にかかってしまうという問題があります。技術の蓄積にもデメリットが大きい。民営化で一企業が管理することでコストを抑えつつ技術もしっかり蓄積でき、サービス内容も均一化をはかることができるとも言われています。

大事なのは、いかに海外の失敗例を参考に有益な民営化事業を進められるかどうか。悪い影響を極力抑え、良い影響が出るように民営化の内容をしっかりと整備する必要があると思います。


民営化によるメリット

  • 公営の場合よりも値上げ額を安く抑えることができる可能性
  • サービス向上
  • コスト削減により、維持管理費用が安くなる可能性

民営化によるデメリット

  • コスト削減によるサービス、水質の低下
  • 役員報酬や配当金、広告費用など、民間企業ならではの費用が上乗せされることにより、必要以上に水道料金が値上げしてしまう可能性
  • 災害時の対応、責任の所在が不明瞭

水道民営化で水質、水道代はどうなるか?

民営化に反対する人達の声を聞くと、水質の低下や水道代の高騰などの懸念が叫ばれていますが、水道代に関しては、公営のままでも必ず値上げせざるを得ません。

住んでいる場所によっても異なりますが、現に人口の少ない地方都市では、年々水道料金が値上げされています。老朽管の整備を含め、維持管理にお金はかかるのに、使用料収入は減っているという現状なので、一軒辺りの料金をアップする以外に方法がないのです。

ただし、水道水の上限を自治体で決めその範囲内での値上げになりますので、民間企業が独断で上限を超えて値上げすることはないと言われています。

民間企業に委託することで人員削減などのコスト面の改革が期待でき、それによって値上げ額を抑えることができると言われていますが、一方で人員削減により管理が難しくなり、サービス低下や水質低下を招くのではないかという懸念もあります。

公務員と一般企業社員では給与面にも差があるので人件費が減らせるという考えですが、これに関しては、企業トップが多くの報酬をもらい、末端の契約社員などが低収入で働かざるを得ない環境が生まれる懸念もあります。働く人数は減ったけど、トップが多く報酬をもらうことで結局かかる経費は変わらないといった最悪な状況も考えられます。

公営のまま水道代値上げよりも、民営化して水道代値上げの方がいいのか?どちらが国民にとってメリットがあるのかをしっかり精査する必要があると思います。

何も考えずに値上げ反対と言い続けるのは難しい段階にきています。安心して水の恩恵を享受するためにも、水道維持管理の予算確保は大事です。そのための値上げであればやむなしかもしれませんが、国や自治体に無駄なお金の流れがあったらそれこそ国民は納得できません。

公営のままでも民営化しても、値上げする際には経理やお金の流れ、無駄はないかなど、国民が納得できる透明性を確保する必要があると思います。

民間企業の場合、経理やお金の流れを公表する責任はありません。フランスのパリでも民営化した企業が利益額を低く見積もるなどの不正経理を行い、2010年に再公営化しています。民営化する場合は、企業のお金の流れや経理をしっかり管理・監視できる仕組みを作ることが大切でしょう。

水質に関してですが、日本の場合水道法によって一定の水質を維持することが決められています。これらは民営化しても守らなければいけないので、海外事例にあるような極端な水質低下が起こることは考えにくいと言えるでしょう。

  • 水道代は高くなるが、それは公営でも同じ。どちらの方がより国民にとって有益なのかをしっかりと見極める必要がある。
  • 水道法で一定の水質維持が決められているので、海外事例のような極端な水質低下が起こることは考えにくい。

水道民営化の問題点

営利目的の民間企業は利益の追求が必須。給水人口が多く、今後も減少しない自治体であればそこまで問題はないでしょうが、給水人口の規模が小さい自治体は民間企業にとってうまみがありません。

利益を上げるために水道代の料金が上がる可能性もありますが、コンセッション方式が理由で、独断で料金値上げができないのであれば、コスト削減という方向で利益を追求する可能性もあります。水質保全や緊急時の対応もおそろかになる可能性も出てきます。施設管理や維持といった、本来民営化によって改善されるはずだった部分ですら対応できなくなる可能性も出てきます。

民間よりも公務員の方がコストが高いから安くなるという声もありますが、その分公営ではかからない報酬額や配当金、宣伝費などの費用が民間にはかかります。また、企業トップの報酬が増え、現場は派遣社員など低収入に働かされるといった問題が出る可能性も予測されています。

また、コンセッション方式を採用することにより、権利は官に残るといいますが、何か問題が起きた際の責任の所在が不明瞭になってしまうおそれがあります。官が最終的な責任を取るということになっても、実際現場レベルで復旧に当たるのは民間企業の職員となります。官の職員が運営していないので、具体的な復旧方法や技術的な部分はまったくわからないということになってしまう問題点も出てきます。ただ実際には今の時点でも人員を大幅に削減しているので、災害時は非常に大変なことになっているという話もあります。

民間企業なので倒産もあり得ます。倒産した場合の対応は誰がどのように行うのでしょうか?

  • 事業が不透明にならないか。
  • サービス低下、不適切な料金値上げが起きないか。
  • 倒産時や災害時の体制、責任はどうするか。特に日本のように自然災害が多い国の場合、災害によって水のライフラインが停止した場合の対応は非常に重要です。
  • コンセッション方式にして民間企業のモニタリングは続けるという話になっているが、それ自体に人員も経費も必要で、今現在もモニタリングできていないという話もある。また、長期間民間に任せることで官側にコントロールできる人間がいるのかも疑問。官側に対応できる人間や、現場を知っている人間がいなくなることで企業側の言いなりになる可能性もありますし、緊急対応時にどう対応すればいいかもわからないという問題点も出てくるでしょう。
  • コンセッション方式で完全民営化じゃないから安全という声もありますが、裏を返せば、責任の所在が不明瞭とも言え、誰も責任を取らない仕組みとも言えます。

この辺の疑問が解決しないまま進められているのが大きな懸念です。

海外の水メジャーと言われる企業の参入も懸念されています。単純に日本人のライフラインである水道事業を海外の企業に任せて大丈夫かという不安があります。

民間企業に委託すればコスト削減、効率化が進むということで推進されている民営化ですが、実際は多国籍企業の参入によって、水道料金は値上がりし、人件費削減によってサービス劣化という事例も世界各地で見られています。これらは、法整備がなされていない状態での民営化が原因とも言われているので、民営化前に先ほどあげた問題点をしっかり解決することが大切だと思われます。

水道民営化の海外事例は?成功例・失敗例

失敗例

海外での水道民営化事例と言えば、よく言われるのがフランスパリ。パリでは1985年に水道民営化を行い、2010年に再公営化されました。

理由は企業の経営が不透明だったためらしいですが、実際後の調査で企業側が利益を過小申告していたことが判明しました。1985年から2008年までの間に水道料金は174%増でした。

その他、フランスのニース、アメリカのアトランタ、インディアナポリスなどが民営化ののち再公営化しています。

例えば、アメリカのアトランタでは民間企業とコンセッション契約をしましたが、20年の契約終了を待たずに、たったの4年で契約解消しています。その間に企業は人員を半分にまで削減し、その上で毎年料金を値上げしました。人員削減で水質管理が疎かになり、一時期は蛇口から濁った水が出て沸騰させなければ飲めないほど水質が悪化した模様です。

またよく失敗例として出るのがボリビア。

日本が行おうとしているコンセッション方式での民営化ですが、契約時に民間企業側に水の販売や、井戸水、雨水の使用といった水事業すべてを独占されたことによって水道料金が約4倍に値上げされ、水質も悪化してしまいました。


成功例

具体的な成功例というのはほとんどないんじゃないでしょうか?

世界の主流は再公営化です。

多くの国で再公営化に向けての動きがあります。

ダメだったら再公営化すればいいんじゃないの?と思うかもしれませんが、そんなに簡単なものではありません。契約期間内であれば違約金などは発生するおそれもあります。

ドイツのベルリンも民営化の後再公営化しましたが、契約期間内であったため13億ユーロ(約1690億円)という膨大なコストがかかりました。違約金がネックとなり再公営化していない自治体も存在します。

国単位で言うと、イギリスに現在再公営化の波がきています。世論調査で国民の8割の支持を受けています。何十年と民営化を経験してきた結果、失敗が積み重なって、ドイツ、フランス、イギリス、スペインなどの各地で再公営化の動きが広がりつつあります。

実際、世界にはたくさんの民営化による失敗例があります。日本の民営化は海外の失敗事例を教訓にすると言っていますが、果たして海外の失敗を踏まえ、民営化を成功に導くことはできるのでしょうか?日本の自治体が水道民営化の成功事例になるためには、まだまだ解決しなければいけない問題点が多く残っているように感じます。

水道民営化のウォーターサーバーへの影響

このサイトのユーザーであれば気になるのがウォーターサーバーへの影響。

同じ水を扱っていますから何らかの影響は出そうですよね。考えられる影響を出してみました。


水道水から採水しているウォーターサーバーの料金高騰

民営化で水道水の料金が上がれば、水道水をろ過して利用しているウォーターサーバーメーカーの料金も上がる可能性はあります。でもこれは民営化に関係なく公営であっても同じことですね。


民間企業による地下水源採水

コンセッション方式での民営化なので、官が認めなければありえないことだとは思いますが、民間企業が地下水源などに水を求めることによって、現在天然水などで利用されている地下水の水質劣化や、それに伴う料金高騰などがあるかもしれません。


メリットは特にありませんけど、水道直結タイプのウォーターサーバーを利用している人の場合、水質が劣化しても、安心して水道水を利用できるというメリットはあるかもしれませんね。いずれにせよ、水道水の変化が何かしらウォーターサーバーの水に影響を与える可能性は否定できないでしょう。

人間にとって水は一番大切なライフライン。

世界一の水質を誇る日本の水道水。水は無料で利用できるのが当たり前という時代はもう過去のものになるかもしれません。

ひとりひとりが水の大切さを心に刻み、民営化に対しても当事者意識を持つ必要がありそうですね。

また何かわかったら追記していきます。

水道直結型ウォーターサーバーと宅配水ウォーターサーバーを比べてみました。

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